水の四天王「祝福の聖女よ、お願いがありますわ」

水の四天王「祝福の聖女よ、お願いがありますわ」

110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:28:00.66 ID:NMxzUlwWo

祝福の聖女(以下、聖女)「水の四天王の貴女が……お願いですか?」

水の四天王(以下、水王)「ええ、貴女にしか頼めないのです」

聖女「……お断りします」

水王「何ですって?」


聖女「貴女のお願い事は、私の信仰が許しません!」

聖女「今の貴女は――状態異常(儚)にかかっています!」


水王(儚)「……」


111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:31:44.55 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「……あまり、私の心を覗かないでくださいまし」

聖女「落ち込んでるのが丸わかりなだけです!」

水王(儚)「ふふっ……貴女は、何でもわかってしまうのね」

聖女「誰だって、今の貴女を見ればわかります!」


水王「――ふっ!」

水王(儚)「……これで、どうかしら?」


聖女「あの……すぐ、儚い感じに戻りましたよ」


112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:35:40.88 ID:NMxzUlwWo

聖女「一体、何があったんですか?」

水王(儚)「……どこかへ、行ってしまわれたのです」

聖女「それって……もしかして」

水王(儚)「ええ……貴女にお話していた、彼が」


水王(儚)「――俺より強いやつに会いに行く」

水王(儚)「……そんな、書き置きを残して」


聖女「何ですか!? その、馬鹿みたいな理由は!?」


113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:38:58.04 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「……私にも、よくわかりませんわ」

聖女「私だって、全然わかりませんよ!」

水王(儚)「ただ……彼は、私の前から消えてしまった」

聖女「無責任にも程がありますよ!」


水王(儚)「だから、祝福の聖女よ……」

水王(儚)「貴女の力で……彼に関する記憶を封じて欲しいのです」


聖女「!?」


114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:42:44.57 ID:NMxzUlwWo

聖女「き……記憶を封じる!?」

水王(儚)「ええ、お願いしますわ」

聖女「貴女が望んでいるなら、出来ると思いますけど……」

水王(儚)「……私は、魔王軍幹部、水の四天王」


水王(儚)「果たさねばならぬ役目があります」

水王(儚)「思い悩み、立ち止まっている暇は……ありませんの」


聖女「……」


115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:46:50.38 ID:NMxzUlwWo

聖女「記憶を封じたら、好きだって気持ちも忘れちゃうんですよ」

水王(儚)「ええ、そうでしょうね」

聖女「貴女は、本当にそれで良いんですか?」

水王(儚)「……ほんの少しだけ、昔話をしましょうか」


水王(儚)「私は……彼をとても嫌っていたのです」

水王(儚)「それこそ、視界に入れるのも嫌でしたのよ?」


聖女「……えっ?」


116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 11:54:14.76 ID:NMxzUlwWo

聖女「そう……だったんですか?」

水王(儚)「……野蛮で粗野、優雅さの欠片も無い愚か者」

聖女「……散々な評価だったんですね」

水王(儚)「私は水の大精霊、当然でしょう?」


水王(儚)「けれど、轡を並べて事に臨んでいく内に……」

水王(儚)「ゆっくりと、ゆっくりと……それが変わっていったのです」


聖女「……」


117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:00:47.76 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「当然、何度も衝突はしましたわ」

聖女「けれど……二人は、それを乗り越えてきた」


水王(儚)「……私の案と、彼の案」

水王(儚)「その二つを合わせて、大きな成功を収めた時」


聖女「……」


水王「……――ふふっ」

水王「あの笑い合った時、私は完全に恋に落ちたのでしょうね」


聖女「――!」


118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:07:21.61 ID:NMxzUlwWo

水王「情緒など、露程も感じない始まりでしょう?」

聖女「……はい、そう思います」

水王「憧れていたロマンスとは、程遠いものですわ」

聖女「……」


水王(儚)「……だから」

水王(儚)「彼が姿を消した今、その記憶が消えたとしても――」


聖女「――だからこそ!」

聖女「絶対に、忘れるなんて駄目です!」


水王(儚)「……祝福の聖女?」


119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:13:19.89 ID:NMxzUlwWo

聖女「何なんですか!? ふざけないでください!」

水王(儚)「……何故、貴女は怒っているの?」


聖女「私は、愛の女神の加護を受けた、祝福の聖女です!」

聖女「その私に……!」


聖女「――幸せな日々の記憶を封じろなど!」

聖女「――愛する人への想いを封じろなど!」


聖女「……出来るわけがないじゃないですか!」


水王(儚)「……」


120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:16:47.51 ID:NMxzUlwWo

聖女「むしろ、その逆!」

水王(儚)「……逆?」

聖女「貴女の、愛を踏みにじる行為を止めます!」

水王(儚)「……」


聖女「貴女自身を敵に回そうとも!」

聖女「私は、想い人の事を語る貴女の微笑みの味方です!」


水王(儚)「っ……!」


121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:21:26.83 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「けれど……辛いのです! 苦しいのです!」

聖女「言い訳をして、考えることをやめないでください!」

水王(儚)「私に! 何を考えろと言うのですか!?」

聖女「そんなの、決まってるじゃないですか!」


聖女「――俺より強いやつに会いに行く」

聖女「……その書き置きの、意味をですよ!」


水王(儚)「あの書き置きの……意味……?」


122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:27:32.34 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「……私は――」

水王(儚)「去る時に、ただ何となくそれらしい理由を書いた」

水王(儚)「――そう、考えていたのですが……」


聖女「……自分より、強い相手に会いに行く」

聖女「そんなの……そんな理由なんて、一つだけじゃないですか」


水王(儚)「……お、教えてくださいまし!」

水王(儚)「その理由とは、何なのでしょうか!?」


聖女「……強くなるためですよ」


水王(儚)「っ――!」


124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:34:28.96 ID:NMxzUlwWo

水王(儚)「つ……強くなるため……?」

聖女「己の殻を破るには、それが一番ですから」

水王(儚)「そんなっ! 何故!?」

聖女「……貴女です」


聖女「水の四天王である貴女を――」

聖女「――守れる程の力を得るためです!」


水王「っ――!!」


125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:43:21.61 ID:NMxzUlwWo

水王「ま、まさか……そんな……」

聖女「そうでなければ、何も残さずに去るでしょう」

水王「け、けれど! 私はそれを望んではいませんわ!」

聖女「……水の四天王」


聖女「想い人が、強くなるという理由で貴女の元を去った」

聖女「……それは、確かに貴女の望みではないでしょう」

聖女「でも、貴女の今の表情は――」


聖女「それこそが、真実だと疑っていないと、私に告げています」


水王「……ふふっ」

水王「……ええ、その通りですわ」


126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 12:53:23.99 ID:NMxzUlwWo

水王「私は……彼をいつの間にか侮っていたのかも知れません」

聖女「侮っていた……ですか?」

水王「恋という名の濃霧が、見失わせてしまっていた……」


水王「彼は馬鹿……本当に、大馬鹿者ですわ」

水王「その大馬鹿者が、思い描く未来」

水王「後ろでも、隣でも無く……前に立とうとする、決意」

水王「……うふふっ、本当に……馬鹿ですわね」


聖女「――水の四天王」

聖女「私にお願いって、何ですか?」


水王「――祝福の聖女」

水王「そんなものは、忘れてしまいましたわ」


127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 13:04:57.94 ID:NMxzUlwWo

  ・  ・  ・

聖女「……本当に、男の人って馬鹿なんですから」

聖女「でも……勇者様も、そういう所があるし……」

聖女「……///」

聖女「愛の女神様、私の恋も見守っててください……!///」


闇の魔王(儚)「……ゅ……ぃ……ょ……願ぃ……」


聖女「……闇の魔王!?」

聖女「一体、何が……っていうか、声小さい!!」


聖女「あああ! 泣いてないで、私に話してみてください!!」



おわり


128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 13:07:20.88 ID:UstjU/g4o

闇王かわいい



『その他』カテゴリの最新記事

おすすめ記事

コメントの投稿