風の四天王「剣の乙女、君に何があった?」

風の四天王「剣の乙女、君に何があった?」

133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:31:38.14 ID:NMxzUlwWo

剣の乙女(以下、乙女)「急に現れておいて、いきなり質問?」

風の四天王(以下、風王)「いや、そんなつもりは無かったんだが……」

乙女「あら、そんなに私が変わったように見える?」

風王「……そうだね、まるで別人だ」


乙女「……愛する人が――彼女が出来た」

乙女「私が変わったのは、それが理由よ」


風王「成る程、そういう事……」

風王「…………えっ?」


135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:35:47.56 ID:NMxzUlwWo

風王「今、何て言ったんだい?」

乙女「聞こえなかったのかしら」

風王「ええ、と……勇者に、彼女が出来たのかな?」

乙女「違うわ」


乙女「この私、剣の乙女に――彼女が出来たのよ」

乙女「……全く、勘違いしないで頂戴」


風王「……いや、待ってくれ」

風王「えっ? 君は女で……えっ、彼女?」


136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:40:29.39 ID:NMxzUlwWo

乙女「それで? 私に、何の用かしら?」

風王「いや、ちょっと……その前に」

乙女「どうしたの、不思議な顔をして」

風王「君は……恋愛対象が、女性だったのかい?」


乙女「運命の相手が、たまたま女だっただけ」

乙女「……私は、彼女に会うために生まれてきたのよ」


風王「……」

風王「そ、そう……なんだね」


138: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:45:10.94 ID:NMxzUlwWo

乙女「彼女の事が知りたい? 良いわ、教えてあげる」

風王「口を挟む暇すら与えてくれないのかい」

乙女「私が、恋の相手に望んでいたものは、唯一つ」

風王「……」


乙女「この私よりも、強い事よ」

乙女「彼女は……新しい仲間の彼女は、本当に強いわ」


風王「……一つだけど、非常に厳しい条件だったんだね」


139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:50:07.08 ID:NMxzUlwWo

乙女「私の剣戟の隙間を縫うように、攻撃魔法を飛ばし……」

風王「それは……本当に、優れた使い手だね」

乙女「時に前に出て盾となり、敵に大きな隙を作り出す……」

風王「それは……敵としては、非常に厄介だね」


乙女「ええ、本当に頼もしい仲間よ」

乙女「彼女と出会えた運命に……感謝しないとね」


風王「……敵の僕としては、素直に祝福出来ないな」


141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 20:56:06.11 ID:NMxzUlwWo

乙女「けれど、突然現れても……信用出来ないでしょう?」

風王「まあ、そうだろうね」

乙女「だから、年長者としてお酒の席を設けたの」

風王「お酒が入れば、本音も出るだろうしね」


乙女「そうして、飲んでいたらね?」

乙女「――お前は、相手に恵まれていなかっただけだ」

乙女「――出会って来た男は、見る目が無かったらしい」

乙女「……ですって! ふふっ! ねえ、聞いてる?」


風王「……うん、まあ、聞いてるよ」


143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:04:41.93 ID:NMxzUlwWo

乙女「それでね? 彼女ったら、もうっ!」

風王「……うん」

乙女「あれよあれよと、酒場の上の宿を取ってね?」

風王「……うん」


乙女「……まあ、そんな感じで……ね?」

乙女「私は……女の喜びを知ったの」

乙女「やっ、やだもうっ!/// 何を言わせるのよ!///」


風王「君が言い出したんだけどね?」

風王「それに、言いにくいんだけど……」

風王「……君のそれは、知ったかぶりだと思うよ」


144: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:08:22.83 ID:NMxzUlwWo

乙女「いいえ、私はそこで己の弱さを知ったわ」

風王「己の弱さ?」

乙女「ええ、そうよ……私自身ですら、知らなかったの」

風王「剣の乙女である、君が?」


乙女「この……右の鎖骨の、このライン」

乙女「ここを舌でツウッとされると、なんだか凄いのよ」


風王「ねえ、赤裸々すぎやしないかい?」


145: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:12:01.68 ID:NMxzUlwWo

風王「けれど……それが、君が変わった理由か」

乙女「そう、愛が私を変えたのよ」

風王「……愛、か」

乙女「私は、愛を知って――強くなった」


乙女「……けれど、風の四天王」

乙女「貴女は、弱くなったわね」


風王「……はは、これは手厳しいね」


146: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:17:54.45 ID:NMxzUlwWo

乙女「今日の貴女は、どうしてまた男装をしてるのかしら?」

風王「……女の格好をする理由が無くなっただけさ」

乙女「ふぅん? そうなの」

風王「それに、僕にはこっちの格好の方が似合うだろう?」


乙女「いいえ、むしろ滑稽だわ」

乙女「今の貴女は、女としての自分に自信が持てず……」

乙女「踏み出した一歩を引っ込めただけだもの」


風王「……君は、本当に厳しいな」


147: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:28:35.33 ID:NMxzUlwWo

乙女「今の貴女なら、目をつぶっても勝てるわ」

風王「……へえ、試してみるかい?」

乙女「死にたければ、かかって来なさい」

風王「っ……! 言うじゃないか!」


乙女「ええ、見るに堪えないもの」

乙女「敵とは言え、何かから逃げている貴女を見るのは」

乙女「……ああ、臆病風でスカートがめくれるから、ズボンをはいてるのね?」


風王「……!」


148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:34:24.43 ID:NMxzUlwWo

風王「随分と……舌が回るようになったじゃないか」

乙女「彼女の舌技に比べれば、大したことは無いわ」

風王「……急に惚気ないでくれるかい?」

乙女「貴女が戦う気が無いってわかったから……つい、ね」


風王「……確かに、君の言う通りだ」

風王「今の僕は……本当に、弱い」


乙女「やっぱり、自覚はあったのね」


149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:41:06.80 ID:NMxzUlwWo

風王「男など……そんな風に見下していた僕がだ」

乙女「……」

風王「一人の男が居なくなってしまっただけで、ね」

乙女「違うわ」


乙女「性別なんて……関係の無いわ」

乙女「男だから? 女だから?……そんなのは、些細な事よ」

乙女「愛する、求めている人が消えてしまって、悲しい」

乙女「……それだけでしょう?」


風王「……」


150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:46:52.82 ID:NMxzUlwWo

風王「君は……何か、知っているのかい?」

乙女「いいえ、何も。けれど、推測は出来る」

風王「……」

乙女「フラれたの? それとも、死んだのかしら?」


風王「……忽然と、姿を消してしまったんだ」

風王「僕が、スカートをはいて行った……その夜にね」


乙女「……馬鹿馬鹿しい」


151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:51:13.38 ID:NMxzUlwWo

乙女「それで、また男装をするようになったの?」

風王「……言いたくないな」

乙女「じゃあ、言わせて貰うわ」

風王「……」


乙女「貴女が女の格好をして、男装をやめた事」

乙女「それが、何かのきっかけになったと思ってるでしょう?」

乙女「……そんな筈、有るわけ無いでしょう!」


風王「……」


152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 21:56:15.00 ID:NMxzUlwWo

風王「……けれど、変わった事と言えば」

乙女「それ以外に無い、とでも?」

風王「……その通りだよ」

乙女「……あのねぇ!」


乙女「自信があるのか無いのか、ハッキリしなさいよ!」

乙女「貴女が、男の格好をしたら、その男は戻ってくるの?」

乙女「……ああもう! イライラさせないで頂戴!」


風王「……」


153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 22:01:56.78 ID:NMxzUlwWo

風王「……だったら、僕はどうすれば良いんだ!」

乙女「そんなの、私が知るわけないでしょう」

風王「ああ、そうだろうね! 君は、僕の敵だから!」

乙女「ええ、だからこそ……私は知っているわ」


乙女「風の四天王」

乙女「――貴女は、探しものをするのが得意だ、って」

乙女「それこそ……私の知らない方法も知ってるわよね」


風王「っ――!!」


154: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 22:11:26.52 ID:NMxzUlwWo

風王「彼を……探す……?」

乙女「何? そんな事も思いつかなかったの?」

風王「……考えもしなかった」

乙女「呆れた……貴女、それでも四天王の一人なの?」


風王「……ああ、僕は風の四天王だ」

風王「狙った獲物は――絶対に逃さないのさ」


乙女「……どうやら、調子を取り戻したみたいね」

乙女「風は、留まり続けるべきじゃないもの」


風王「感謝するよ、剣の乙女」

風王「君は、僕の女々しさを見事に断ち切ってくれた!」


155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 22:19:54.98 ID:NMxzUlwWo

  ・  ・  ・

乙女「……恋は盲目と言うけれど」

乙女「時に……己をすら、見失わせてしまうのね」

乙女「……」

乙女「私は……彼女を見失わないよう、気を付けないと」


火の四天王「剣の乙女よ! 婚約が……!」

火の四天王「パパが、婚約を解消しろと言ってきた!」


乙女「……貴女、火龍王をパパって呼んでるの?」

乙女「それより、婚約を解消って……もう、わかったから!!」


乙女「一緒に良い方法を考えるから、ブレスを吐かないで頂戴!!」



おわり


158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/03(土) 23:38:17.10 ID:uLryz9klo

地王には天罰下したい



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