火の四天王「剣の乙女よ、礼を言わせてくれ」

火の四天王「剣の乙女よ、礼を言わせてくれ」

207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 21:52:40.57 ID:c5E94vi1o

剣の乙女(以下、乙女)「礼? 何のかしら?」

火の四天王(以下、火王)「婚約に関する話だ」

乙女「……ああ、あの話ね」

火王「おかげで、婚約を解消せずに済んだぞ」


火王「――やっぱり、嫁には行かせたくない」

火王「全く……パパは、子離れが出来なくて困る」


乙女「私は、貴女が『パパ』呼びなのにも未だ戸惑ってるわ」


208: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 21:57:39.89 ID:c5E94vi1o

火王「!? ち、父上! 父上だ!」

乙女「別にいいわよ、今更取り繕わなくたって」

火王「だが……私にも、体面というものがある」

乙女「ふぅん?」


乙女「――婚約を解消しろ」

乙女「そう言われて、半ベソかいてたのは誰かしら?」


火王「あわっ、わ、忘れてくれ!///」


209: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:02:37.79 ID:c5E94vi1o

乙女「それで? どう説得したの?」

火王「お前の助言通り、マ……母上に協力を仰いだ」

乙女「大喧嘩にでもなった?」

火王「いや、そんな事はない」


火王「――今の、私の様な幸せをこの子にも」

火王「そう母上が言ったら、娘の前だと言うのに……全く!」


乙女「……熱々じゃないの」


210: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:07:31.10 ID:c5E94vi1o

乙女「でも、貴女の婚約者は行方知れずなのよね」

火王「ああ、だが……奴なら必ず戻ってくる」

乙女「ねえ、どうしてそこまで信じられるの?」

火王「? 何を言っている」


火王「――信じる力の強さ」

火王「それをよく知っているのは、お前達だろう」


乙女「……呆れる位、真っ直ぐなのね」


211: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:13:39.33 ID:c5E94vi1o

火王「奴も、私を信じてくれている」

乙女「でなきゃ、書き置きだけ残して居なくならない、か」

火王「ああ、そうだとも!」

乙女「とっても素敵な人なのね」


火王「うん!!(ボワッ)」


乙女「熱い!」

乙女「盛り上がるのは良いけど、ブレスはやめて頂戴!」


212: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:18:11.05 ID:c5E94vi1o

乙女「でも……そんなに素敵な人なら、心配ね」

火王「? 何がだ?」

乙女「浮気しないか、よ」

火王「……」


火王「……!」プルプル

火王「……!」ジワァ…


乙女「じょっ、冗談よ!」

乙女「あああ、泣かないで頂戴! 冗談だから!」


213: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:25:33.94 ID:c5E94vi1o

火王「……すまない、想像したら悲しくなった」

乙女「その人の事、本当に好きなのね」

火王「……ああ! 勿論だ!」

乙女「他に、良い人が居るかも知れないのに?」


火王「……私の顔が、今よりも鱗に覆われていた幼き頃」

火王「火龍王の娘だからと、誰もが愛想笑いを向ける中……」

火王「……奴だけが、私に言った」


火王「――ブス」


火王「……とな」ニコッ


乙女「……笑える台詞じゃないと思うけれどね」


214: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:34:36.86 ID:c5E94vi1o

乙女「周囲の者達が、黙ってなかったでしょうに」

火王「当然、怒り狂ったぞ! 尤も、内心ではどうか知らんが!」

乙女「火龍王は?」

火王「なんと、あまりの怒りにひっくり返ってな! ははは!」


火王「それがおかしくて、思わず笑ってしまった私を見て……」

火王「……奴は――」


火王「――可愛い!」


火王「……と、言ったんだ!(ボワッ)///」


乙女「……物凄い手のひら返しよね」


215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:41:50.22 ID:c5E94vi1o

火王「……本当に、単純な奴なんだ」

乙女「ねえ、この話もう何度も聞いてるんだけど」

火王「それでな!(ボワッ)/// それでな!(ボワッ)///」

乙女「……続けるのね」


火王「――この子の可愛さを引き出すとは、さすが火龍王!」

火王「――俺にも、そのひっくり返り方を教えて欲しいのだ!」

火王「……なんてな?(ボワッ)/// なんてな?(ボワッ)///」


乙女「……火龍王が親馬鹿で助かったのよね」


216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:49:36.49 ID:c5E94vi1o

火王「……奴のこの馬鹿さは、年月を重ねても変わらなかった」

乙女「それを信じ続ける貴女も、馬鹿だと思うけどね」

火王「む」

乙女「でも、まあ……嫌いじゃないわよ、そういうの」


火王「おっと、私に手を出そうとするなよ?」

火王「確かに、お前は良き友人ではある」

火王「だが、私は浮気は絶対にしない」


乙女「……あのね、私の事を何だと思ってるわけ?」


217: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 22:55:41.26 ID:c5E94vi1o

乙女「私は、運命の相手が女性だっただけよ」

火王「運命か……なら、私と奴も運命で結ばれている」

乙女「随分と自信ありげじゃない」

火王「私は、案外ロマンチストなんだ」


ガチャッ!

大地の魔女(以下、地女)「剣の乙女よ、飲みに行くのだ!」


乙女・火王「ん」


地女「……」

バタンッ!


乙女・火王「……」


218: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:03:22.55 ID:c5E94vi1o

  ・  ・  ・

地女「……!」

地女(ぬうう! 何ということだ!)

地女(剣の乙女と、火の四天王が裏が繋がっていたとは!)

地女(勇者と聖女が二人で話すから……と)

地女(気を利かせて、飲みに出ようと思ったのが間違いであったか!)


地女「今は……今は、此処を離れねば!」


乙女「の……飲みに行くって……その///」モジモジ


地女「!? いつの間に背後に!?」


乙女「あ……あ、愛の力で///」


219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:10:15.71 ID:c5E94vi1o

  ・  ・  ・

乙女「――紹介するわ、この子が……」

地女「……大地の魔女なのだ」

火王「私は、魔王軍幹部の一人、火の四天王」

乙女「……どう? 私の、運命の相手は///」


火王「そうだな……」

火王「見た所、かなりの使い手の様だ」

火王「私達、四天王にも勝るとも劣らない魔力を秘めている」


地女「そ……そんなでもないぞ」

地女(せええええふ! せふせふせええええふ!!)

地女(魔王様と違い、魔眼が無いのでバレてはいない!)


220: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:17:04.33 ID:c5E94vi1o

地女「……」

地女(だが、いずれはボロが出るかも知れん!)

地女(俺が、地の四天王だと知られる前に……離脱せねば!)

地女(ええい! これが、運命の悪戯というやつか!)


地女「……それじゃ、あとは二人で」


「「二人で?」」


地女「むう?」


乙女「二人になるのは……三人で飲んでからでも、ね?///」モジモジ

火王「……あまり、見せつけてくれるなよ?」


地女「……むおお!?」


221: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:24:34.31 ID:c5E94vi1o

  ・  ・  ・

ダダダダッ、ガチャッ!

地女「――光の勇者よ、まずい事になった!」

光の勇者(以下、勇者)「っ!? な、何だ!?」

地女「あ、ファーストキスおめでとうと言っておこう」

勇者「……お前、何で知ってんの!?」


地女「酔って、朝起きたら火の四天王と剣の乙女がベッドに居たのだ!」

地女「恐らくだが、二人まとめてヤっちゃったのだ!」


勇者「お前、何やってんの!?」


222: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:32:10.14 ID:c5E94vi1o

地女「そりゃあお前、夜で人気が無いとは言え、なぁ」

勇者「お前、広場の噴水の前……通ってたのか!?」

地女「うむ! あそこがムードが良いと、助言したのは俺だ!」

勇者「お前……なんっ、どこまで見てたんだ!?」


地女「だが、光の勇者よ! 見損なったぞ!」

地女「祝福の聖女が、不意打ちとは言えチュッとしてきたのだ!」

地女「男ならば、ガバッと抱きしめブチュッとすべきだろうが!」


勇者「ほぼほぼ見てんじゃねえかあああああ!!」


223: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:43:09.18 ID:c5E94vi1o

地女「不意打ちに対処出来なければ、この先はもっと危険だぞ」

勇者「この野郎……!」

地女「ふはは、既に歯車は動き始めた!」

勇者「手を……手を出さないようにしてたのに!」


地女「ふはは! 無駄だが、気をつける事だな!」

地女「ふははははっ! はっははははは!」

地女「……だが、突然キスされたとはいえな?」

地女「呆けるだけというのは、さすがにいかんと思うぞ」


勇者「……頼む、言うな」


224: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:47:24.91 ID:c5E94vi1o

地女「……まあ、説教はこの位にするとしてだ!」

勇者「そ、そうだ! お前、二人まとめてって……」

地女「だが……不幸中の幸いだったぞ」

勇者「……何がだよ」


地女「二人は、まだ起きていなかったからな?」

地女「こう……俺が居た形跡を消し、コッソリ抜け出してきたのだ」



勇者「……」

勇者「……いや、お前それ――」


225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/06(火) 23:51:31.01 ID:c5E94vi1o

  ・  ・  ・

火王「……ん……む……朝か」

火王「此処は、一体……それに……裸?」

火王「痛っ!? 飲みすぎて、何も覚えて――」


乙女「ん……う~ん」


火王「……」

火王「!?」


乙女「激し……むにゃむにゃ」


火王「!!!???」


226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/07(水) 00:01:56.81 ID:eXgVFMmJo

火王「つ……剣の乙女?」

乙女「……ん~?」

火王「お、起きろ! 起きてくれ!」

乙女「…………おはよう」


火王「ではなく! 昨晩、一体何があった!?」

火王「わ、わた……お前と!?」


乙女「……まあ、良いわよ」

乙女「運命って言うのは、どう転ぶかわからないものね」クスリ


火王「さすがに爛れすぎだろう!」



おわり



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