【ぼく勉】 あすみ 「緒方ってハムスターに似てるよな……」

【ぼく勉】 あすみ 「緒方ってハムスターに似てるよな……」

289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:13:38 ID:TbXVMSi6

………………夕方 繁華街

あすみ 「ふー……」

あすみ (ここのところお客様が多くてバイトが大変だな……)

あすみ (まぁ、その分時給も上がったし、ありがたいっちゃありがたいが……)

あすみ (ま、とりあえず今日は終わったし、明日は休みだし、時間とってしっかり勉強しとかないとな)

サササッ

あすみ 「……ん?」

ハミちゃん (おねーさま) キラキラキラ

あすみ 「ヒッ……!? げ、げっ歯類!?」

あすみ (み、見間違うはずもない。あれは間違いなく、例の奥様の家の、ハミちゃんだ……)

あすみ (またアタシに会うために抜け出してきたのか……)

ゾゾゾッ……

あすみ 「か、勘弁してくれよ……。アタシ、本当にお前たちは苦手なんだって……」

あすみ (とはいえ、このまま放置もできねーし……ど、どうしよう……)

ハミちゃん (おねーさま……えへへ、飛びついちゃおうかな……)


290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:14:13 ID:TbXVMSi6

ハミちゃん (おねーさまー!) ピョーン

あすみ 「ひっ……!?」 (と、飛びかかられ――)

――ムンズ

「……? なんですか、この子は? ハムスターさんですか」

あすみ 「へ……?」

あすみ 「お、緒方!?」

あすみ (ハミちゃんを捕まえてくれたのか……)

理珠 「どうも。こんにちは、小美浪先輩」

理珠 「この子は先輩のペットですか?」

あすみ 「い、いや、そういうわけではないんだが……」

あすみ (っていうかげっ歯類をペットとか考えたくもない!!)

あすみ (だが、まぁ、緒方のおかげで助かったな……)

あすみ 「ありがとな、緒方。おかげで……――!?」

理珠 「……? どうかしました、先輩?」


291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:14:50 ID:TbXVMSi6

あすみ (は、ハミちゃんを抱える緒方って……)

あすみ (少し、ハムスターっぽいというか、リスっぽいというか……)

あすみ (一般的には、きっと “かわいい” と言うべきなのだろうけど……)

あすみ (げ、げっ歯類の、ボスのように、見える……!!)

ゾワッ……!!!!

あすみ (や、やめろアタシ! 可愛い後輩になんて失礼なことを――)

理珠 「――先輩?」

あすみ 「ひっ……!!」 (め、目の前に、ハムスターと、ハムスターの親玉が……!?)

あすみ (い、いや、違う。緒方は人間だ。人間……いや、ちょっと待てよ)

あすみ (……もし、緒方がハムスター星人だったら……?) ※先輩は混乱しています。

理珠 「……?」 ジーーーッ

ハミちゃん (……?) ジーーーッ

あすみ (に、似てる! やっぱり似てるぞ!!)

あすみ (やはり緒方はハムスター星人なのか!?) ※先輩はとても混乱しています。


292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:15:34 ID:TbXVMSi6

理珠 「……あの、先輩?」

あすみ 「あっ!!! すまん緒方! アタシちょっと急ぎの用事を思い出したわ!」

あすみ 「ってことでスマン! そのハムスターはお前に任せた!!」

ダッ

理珠 「へ……?」

理珠 「い、行ってしまいました……」

理珠 (何だったのでしょうか。先輩、少し様子がおかしかったですが……)

理珠 「それよりもこの子ですね。どうしたものでしょうか」

ハミチャーン ハミチャーン

理珠 「……?」

奥様 「……!? あっ、ハミちゃん!」

ハミちゃん (おくさまー!!) ピョーン

奥様 「よかったわぁ、ハミちゃん。探したのよ~」 ギュッ

理珠 (ほっ。あの人が飼い主さんみたいですね。これで一安心です)

理珠 (それにしても……。先輩、一体どうしたというのでしょうか)


293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:16:19 ID:TbXVMSi6

………………翌日 緒方うどん

あすみ 「………………」

ズーン

あすみ (……昨日は本当に最低のことをしてしまった)

あすみ (後輩である緒方にハミちゃんを押しつけ、逃走するに留まらず……)

あすみ (緒方をあの恐ろしいげっ歯類に似ているなどと考えてしまった……)

あすみ (……謝らねば)

あすみ (……と、思ってあいつん家に来たはいいものの、緒方の奴いるかな。とりあえず入ってみるか)

ガラッ

親父さん 「おう、いらっしゃい!」

あすみ 「どうも、こんにちは。あの、理珠さんはいらっしゃいますか?」

親父さん 「お? リズたまのお友達かい?」

あすみ (リズたま……?)

あすみ 「お友達……って言っていいのかな。一応、理珠さんの一つ上の先輩です」

あすみ 「同じ予備校の夏期講習を受けて知り合いました」


294: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:17:07 ID:TbXVMSi6

親父さん 「おお、ってことは、ひょっとして “あすみ先輩” かい?」

あすみ 「そうですけど……」

親父さん 「話はよくリズたまから聞いてるよ。リズたまに色々アドバイスをくれたみたいで、どうもありがとな」

あすみ 「いえいえ。そんな……」

あすみ 「ところで、理珠さんは……?」

親父さん 「ああ、わりぃわりぃ。リズたまはいまちょっと出前中でな。店にはいねぇんだ」

親父さん 「でも、すぐ戻ってくると思うから、うどんでも食べて待っててくれな」

あすみ 「あ、でも……」

親父さん 「気にすんなって。リズたまの友達なんだからごちそうするから」

親父さん 「とりあえず超特急で激うまうどんを作ってくるから、座って待っててくれな!」

あすみ 「あっ……行っちまった」

あすみ (……よくわからんが)

あすみ (うちの親父と同じで、経営が苦手なニオイがするな、あのお父さん)

あすみ (アタシとは違う方向みたいだが、緒方も父親で苦労してそうだな……)


295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:17:51 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ 「………………」

ズルズルズル……

あすみ (……学園祭でも食ったけど、ここのうどん本当にうめーな)

あすみ (こんな家に生まれりゃ、緒方くらいうどん好きになっても不思議じゃねーかもな)

あすみ 「すみません、お父さん。うどんいただいちゃって」

親父さん 「なに、気にすんなって。そんなに美味しそうに食ってくれりゃうどん屋冥利に尽きるってもんよ」

あすみ 「はい、本当に美味しいです。ご馳走様です」

親父さん 「……いや、ほんと、気にしなくていいんだよ」

あすみ 「……?」

親父さん 「うちのリズたまはさ、こう言っちゃなんだが、ちょっと人の気持ちが分からないところがあってさ」

親父さん 「友達もそう多い方じゃねぇし、友達と喧嘩したっていうのも多かったんだ」

親父さん 「……そんなリズたまがさ、ここ一年くらい、本当に楽しそうでさ」

親父さん 「俺は本当に嬉しいんだ」


296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:18:38 ID:TbXVMSi6

あすみ 「お父さん……」

親父さん 「それも全部、文乃ちゃんやうるかちゃん、それからアンタみたいな先輩もいてくれるからだと思う」

親父さん 「だから、本当にありがとな。これからも、リズたまの友達でいてくれると、嬉しいぜ」

あすみ 「………………」

あすみ 「……理珠さんは、アタシにとっても大事な後輩ですから」

あすみ 「こちらこそ、これからも仲良くお付き合いさせてもらいたいです」

あすみ (……うぅ。この親父さん、小さい頃から緒方のことをずっと心配してたんだろうな)

あすみ (なのに、アタシはそんな緒方に、昨日あんな失礼なことをしてしまった……)

親父さん 「……? それにしてもおかしいな。リズたま、もうそろそろ戻ってくると思うんだが……」

親父さん 「まさか、事故にあったりなんか……」 オロオロ

あすみ 「あっ……じゃあ、アタシ探してきますよ」

あすみ 「うどんいただいたお礼です! ちょっと行ってきますね!」

あすみ (早く緒方を見つけて、昨日のことを謝らないと……)


297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:19:24 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ (……と、急き込んで飛び出したものの)

理珠 「……うーん、どうしたものでしょうか」

あすみ (こんなに早く見つかるとは。あの和服姿は間違いなく緒方だ)

あすみ (……が、)

理珠 「あなたは昨日のハムスターさんですね。今日も脱走してきたのですか?」

ハミちゃん (昨日のおねーさん!) ハミハミハミ

あすみ (なんで緒方とハミちゃんが今日も一緒にいるんだよー!!)

あすみ (これじゃ怖くて話しかけられないじゃねーか!)


298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:20:00 ID:TbXVMSi6

理珠 「どうしましょうかね。あなたの飼い主さんも心配しているでしょうし」

理珠 「うちで保護してあげたいところですが、うちは飲食店なので動物は連れ込めませんし……」

理珠 「でも、出前帰りに偶然出会えて良かったです。今日もかわいいですね」

ハミちゃん (このおねーさんも優しいから好きー!) ハミハミハミ

理珠 「さて、どうしましょうか……」

ハミちゃん (おねえさまに会いたいの! 連れてって!) ハミハミハミ

理珠 「……? ハムスターさん? そっちに行きたいのですか?」

理珠 「………………」

ムフー

理珠 「まぁ、今はお店にお母さんもいますし、少しくらい空けてもいいですよね」

理珠 「わかりました。ハムスターさん。あなたの行きたいところまで私が連れて行ってあげましょう」


299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:20:42 ID:TbXVMSi6

………………物陰

あすみ 「………………」

ゾクッ

あすみ (お、緒方の奴、ハムスターと楽しげにお喋りを始めやがったぞ)

あすみ (き、昨日の今日で、さっきの今で、反省したばかりで、これは大変、遺憾なことだが)

あすみ (やはりあいつはハムスター星人なのでは……!?) ※先輩は混乱しています。

あすみ (いや、違う。あいつは人間だ。人間でありながら、人類を裏切ったのか!?) ※先輩は混乱しています。

あすみ (だ、ダメだ。正常な判断ができない。こういうときは……)

ピッ……prrrr……

成幸 『もしもし?』

あすみ 「後輩! 悪いが今すぐ来てくれ! 緒方がハムスター星人で人類を裏切ったんだ!!」

成幸 『先輩が混乱しているのはよく分かりました。今すぐ行くのでそこを動かないでください』


300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:21:30 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ 「かくかくしかじかというわけなんだ」

成幸 「……はぁ。まぁ、話は分かりましたけど」

成幸 「それで緒方をつけ回してるんですか?」

あすみ 「し、仕方ねーだろ! アタシは先輩として、あいつを正しい人類の道に戻してあげる必要がある!」

成幸 (この人、げっ歯類が絡むとほんとぶっ飛んじゃうよなぁ)

成幸 「俺が緒方と話してきましょうか?」

成幸 「で、俺がハミちゃんを預かっちゃえば、先輩も緒方と話せますよね?」

あすみ 「だ、ダメだ!」

ギュッ

成幸 「せ、先輩!?」 (お、往来で急に抱きつかれるのはさすがに……)

あすみ 「お、お前までげっ歯類側に行ってしまったら、アタシは……アタシは……」

成幸 「……あ、はい」

成幸 (げっ歯類側って何だろう……)


301: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:22:15 ID:TbXVMSi6

………………

ハミちゃん (次はこっち!) ハミハミハミ

理珠 「こっちですね。わかりました」


………………

あすみ 「な!? 緒方の奴、ハムスターの言葉がわかってるんだよ!」

成幸 「まぁ、たしかにそう見えますけど……」

成幸 「そんなことより、緒方はどこに向かっているんでしょうね」

あすみ 「ん……そういえば……」

ハッ

あすみ 「こ、この辺は、見覚えがある……というか、アタシがよく通る道だ……」

成幸 「……うん、まぁ、俺も薄々そう思ってましたけど」

成幸 「間違いなく先輩の家に向かってますよね」

あすみ 「なんだと!? 緒方の奴、本当に人類を裏切るつもりか!?」

成幸 (……この先輩見るの少し楽しくなってきたな)


302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:22:45 ID:TbXVMSi6

………………小美浪診療所

理珠 「ここは……」

理珠 「小美浪先輩の家……?」

小美浪父 「……おや? 君はたしか、娘の友達の緒方さんだったかな?」

理珠 「どうも、こんにちは」

ハミちゃん (おねえさまの家!) ピョーン!!

理珠 「あっ、ハムスターさん!」

トトトトトト……


303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:23:34 ID:TbXVMSi6

理珠 「す、すみません、すぐ捕まえます」

小美浪父 「ああ、気にしなくていいよ」

小美浪父 「あのハムスターはたまに来る娘の友達だ。たぶん娘の部屋に行ったんだろう」

小美浪父 「最近、娘はよくあの子と遊んでいてね」

小美浪父 「きみが連れてきてくれたんだね。娘のために、わざわざありがとう」

理珠 「いえ、そんな……」

理珠 「あっ……す、すみません。お仕事中ですよね。お邪魔をしてしまって……」

小美浪父 「気にしなくていいよ。今はお昼休憩中だからね」


304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:24:06 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ 「お、緒方の奴本当にうちに入っていきやがったぞ!?」

あすみ 「あいつは本気でアタシたちを裏切ったのか!?」

成幸 「そんな自覚はないと思いますよ。ほら、先輩、少し落ち着きましょう」

成幸 「お父さんは先輩がげっ歯類を苦手だって知ってるんですよね?」

あすみ 「……まぁ、多分」

成幸 「それなら、きっとなんとかしてくれますよ。とりあえず入りましょう?」

あすみ 「そ、それもそうだな……」

あすみ (……いや、しかし、げっ歯類は狡猾だ。どんな罠を張り巡らしているか分からない)

あすみ 「……とりあえず、こっそり行くぞ」

成幸 「えっ? まぁいいですけど……」

コソコソコソ…………


305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:24:45 ID:TbXVMSi6

あすみ 「ん……。親父と緒方が何か話してるな……」

小美浪父 「ああ、気にしなくていいよ」

小美浪父 「あのハムスターはたまに来る娘の友達だ。たぶん娘の部屋に行ったんだろう」

小美浪父 「最近、娘はよくあの子と遊んでいてね」

小美浪父 「きみが連れてきてくれたんだね。娘のために、わざわざありがとう」

あすみ 「……親父」

成幸 (お父さん、ハミちゃんから逃げ回る先輩を見て、“遊んでる” と思ってるんだな)

成幸 (あのお父さんならさもありなんだけど、先輩、怒ってるだろうなぁ……) チラッ

あすみ 「……親父ぃ」 ボロボロボロ

成幸 「……!?」 (な、泣いてる!?)

あすみ 「お、親父……どうして侵略の手引きなんかを……」

あすみ 「パパまでげっ歯類側についたのかよぉ~~~!!」 シクシクシク

成幸 (先輩ってとことんまで弱るとパパ呼びなんだ……っていうか、まさか泣き出すとは……)

成幸 (……先輩は本当に辛いだろうから、不謹慎な話ではあるけど)

成幸 (……少し可愛いな)


306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:25:29 ID:TbXVMSi6

………………

小美浪父 「お茶とようかんだよ。どうぞ」 コトッ

理珠 「すみません……」

小美浪父 「いやいや。こちらこそ、おうちのお手伝い中なのにすまないね」

理珠 「いえ。父にはもう連絡を入れたので、大丈夫です」

小美浪父 「そうか。それならよかったよ。きみたちとは、一度ゆっくりお話がしたかったんだ」

理珠 「?」

小美浪父 「……とりあえず、まず、言わせてほしい」

ペコリ

小美浪父 「……娘と仲良くしてくれて、本当にありがとう」


307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:26:21 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ 「うぅ……まさか、家族にまで裏切り者がいるとは……」 ブツブツブツ

成幸 「……先輩」

あすみ 「なんだよぅ……」

成幸 「盗み聞きみたいになっちゃって嫌ですけど、先輩もこっち来て聞きましょう?」

あすみ 「裏切り者たちの話なんか……」

成幸 「ほらほら、いつまでも混乱してないで、来てくださいってば」

成幸 「先輩は絶対に聞いといた方がいいですよ。この話」

クスッ

成幸 「先輩のお父さんも先輩とそっくりで、なかなか素直になれない人ですから」

あすみ 「……?」


308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:27:13 ID:TbXVMSi6

………………

理珠 「へ? へ? い、いえいえ、そんな……頭を下げられるようなことでは……」

小美浪父 「いや、本当にきみたちには感謝をしているんだ」

小美浪父 「あすみは小さい頃から活発で人好きのする性格でね」

小美浪父 「友達も多かったし、いつも楽しそうだったよ」

小美浪父 「……でも、浪人し始めてから、あの子はずっと必死でね」

小美浪父 「もちろん私のせいもあるのだろうが、どうにも、余裕がないようだった」

小美浪父 「……しかし、夏くらいからかな。それこそ、唯我くんやきみたちと出会ってからだ」

小美浪父 「あの子から余計な力が抜けて、余裕が出てきたように見えるようになった」

小美浪父 「間違いなく、唯我くんや緒方さん、古橋さん、武元さんのおかげだ」

小美浪父 「……だから、ありがとう。私はいま、本当に安心しているんだ」

小美浪父 「娘がきみたちと出会ってよかった。きみたちが、娘のお友達になってくれて、本当によかった、とね」

理珠 「お父さん……」


309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:27:57 ID:TbXVMSi6

理珠 「そうやって言われると、なんて言っていいのかわかりませんが……」

理珠 「私もお勉強のことやその他のことで、先輩からは色々とアドバイスをもらったりします」

理珠 「私にとって、とても頼りになる先輩です」

理珠 「……だから、私の方こそ、先輩に出会えてよかったです」

小美浪父 「そうか……」

小美浪父 「……そう言ってもらえると、私も嬉しいよ。ありがとう、緒方さん」

理珠 「あっ……さすがにそろそろお店に戻らないとです」

理珠 「お茶とようかん、ごちそうさまでした」

小美浪父 「いやいや、おじさんの話に付き合わせてしまって悪かったね」

小美浪父 「また遊びに来なさい。あすみともども、歓迎するよ」

理珠 「はい! また来ます!」


310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:28:27 ID:TbXVMSi6

………………

あすみ 「………………」

成幸 「ね? 聞いて良かったでしょ?」

あすみ 「……ふん」 プイッ

あすみ (……緒方の奴、嬉しいこと言ってくれるじゃねーか)

あすみ (親父も親父だ。恥ずかしいことばっか言いやがって……)

あすみ (いや、しかし、アレだな……)

ズーン

あすみ (……さっき緒方のお父さんと話をして反省したばかりだというのに)

あすみ (またげっ歯類に混乱して、わけの分からんことを口走ってしまった……)

あすみ (ハミちゃんもいなくなったことだし、今度こそ緒方に謝らないと……)


311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:29:06 ID:TbXVMSi6

………………

理珠 「さて、急いでお店に戻らないとですね……」

理珠 (さすがに、長く外に出すぎました。帰ったらお父さんに謝らないと……ん?)

あすみ 「……よう」

理珠 「あ、小美浪先輩」 キョトン 「びっくりしました。今、ちょうどおうちにお邪魔していたんですよ」

あすみ 「……みたいだな」

あすみ 「……なぁ、緒方」

理珠 「はい?」

あすみ 「昨日は、その……逃げ出すような真似して悪かったな」

理珠 「……はい?」

あすみ 「いや、その……ハムスター、お前に押しつけたみたいになっちまっただろ?」

理珠 「ああ、そういえば、昨日もハムスターさんと会いましたね」

理珠 「大丈夫ですよ。あの後すぐに飼い主さんが来て引き取ってくれましたから」

あすみ 「そ、そうか……」 ホッ 「それならよかった」

あすみ 「でも、すまん。悪いことをした」


312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:29:52 ID:TbXVMSi6

理珠 「? そんな、頭を下げるようなこととは思えないのですが……」

あすみ (まぁ、実際にはそれだけじゃなくて、お前のことをハムスター星人だのなんだのひどいことを言ってしまったんだが……)

あすみ (緒方が気分を害しても嫌だし、それはいつか、別のときに告白するとして……)

あすみ 「あ、あのさ……」

理珠 「はい?」


あすみ 「アタシにとって、お前は大切な後輩だから」


理珠 「……? はい?」

あすみ 「……いや、お前、そこはもう少し笑顔になってくれてもいいだろうが」

カァアアアア……

あすみ 「アタシがひとりでこっぱずかしいこと言っただけみたいになっちゃうだろ」

理珠 「すみません。そういうものなんですね」

理珠 「ありがとうございます。私も、先輩のことは尊敬していますし、大切に思っていますよ」

あすみ 「っ……」 (そ、そうだ。こいつはこういう奴だ。照れるようなことを、何でもないように言えるんだ)


313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:30:22 ID:TbXVMSi6

あすみ 「……引き留めて悪かったな。それだけ言いたかったんだ」

理珠 「そうですか」

理珠 「では、また、小美浪先輩」

あすみ 「おう。またな」

あすみ 「………………」

ズーン

あすみ (……ほんと、いくら混乱してたとはいえ、あんなに良い奴をげっ歯類の手先だと思い込むなんて)

あすみ (アタシもヤキが回ったもんだ。ごめんな、緒方……)


314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:30:54 ID:TbXVMSi6

成幸 「終わりました?」 ヒョコッ

あすみ 「おう。後輩も、くだらねーことに付き合わせちまって悪かったな」

成幸 「いえいえ」

あすみ 「……お詫びに勉強付き合ってやるよ。うち寄ってけよ」

成幸 「お詫びって……。どうせ理科で教えてほしいところがあるんじゃないですか?」

あすみ 「にひひ、バレたか。ま、いいだろ。大好きな “先輩と密室” シチュなんだからよ」

成幸 「だからそれは勘違いだって言ってるでしょーが!」

成幸 (……あれ?)

成幸 (そういえば、何か忘れてるような……?)


316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:31:39 ID:TbXVMSi6

………………小美浪家

あすみ 「大体だな、お前はもう少しこのシチュエーションに感謝した方がいいぜ?」

あすみ 「アタシとふたりっきりで勉強できるんだ。店のファンなら垂涎モンだぞ?」

成幸 「俺はべつにハイステージのファンではないので……」

ドキドキドキドキ……

成幸 (な、なんだろう。先輩とふたりきりということに対してのドキドキじゃない、この胸騒ぎは……)

成幸 (先輩の部屋に近づくにつれて、どんどん動悸が激しくなっていく……)

成幸 (何か、忘れてはいけないものを忘れているような……)

あすみ 「ったく。つれねー後輩だな。ま、いいや」

ガチャッ

成幸 「……!?」

ハッ

成幸 「あっ!! せ、先輩! 部屋の中にはきっと……――」

――――ピョーン!!!

ハミちゃん (おねえさまー!!)


317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:32:17 ID:TbXVMSi6

あすみ 「へ……?」

ムギュッ

あすみ 「………………」

ハミちゃん (えへへー、おねえさまー!) はみはみ

成幸 「せ、先輩……」

成幸 (む、胸元にダイブをキメるとは、やるなハミちゃん……)

あすみ 「………………」

ブワッ

あすみ 「うわあぁあああああああああん!! なんでこうなるんだよぉおおおおお!!」

あすみ 「後輩取って後輩取って後輩取ってぇえええええええええ!!」

あすみ 「ハムスター怖いよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

成幸 「お、落ち着いてください先輩! 今取りますから!!」


319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:33:02 ID:TbXVMSi6

あすみ 「ダメ! お願い! 早く取ってぇええええ!!」

成幸 「ちょっ、暴れないでください! 取れないでしょ!」

あすみ 「緒方~~~~~!! やっぱりお前はハムスターの手先なのか~~~~~~!!!」

成幸 「またわけわからないこと言い始めた!? 先輩どんだけげっ歯類苦手なんですか!?」

成幸 「……うわっ、脱いだ服振り回さないでください! ハミちゃんもう床に降りてますから!」

成幸 「ってなんでブラジャーまで取ろうとしてるんですか!?」

あすみ 「緒方~~~!!」

グスッ

あすみ 「やっぱりお前はハムスター星人だったのかーーーー!!」


おわり


320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 23:33:55 ID:TbXVMSi6

………………幕間  「まぁ誤解するよね」

あすみ 「……はぁ……はぁ」 ゼェゼェ……

成幸 「落ち着きました? 先輩……」

あすみ 「……ああ。また恥ずかしいところを見せちまったな」 ギロッ 「……とりあえず忘れろ」

成幸 (どうやって忘れろと言うんだろう……) 「……っていうか、先輩、ハミちゃんはカゴの中に入れましたから」

ハミちゃん (出してー! 出してー!) ハミハミ

成幸 「いい加減、俺から離れてくれませんか? っていうか、その……」 カァアアアア…… 「せめてブラジャーだけでもつけてもらえると……」

あすみ 「も、もう少しだけくっつかせといてくれ……身体の震えが止まらないんだ」

成幸 「……まぁ、いいですけど……」

小美浪父 「あすみ! 何を暴れているんだ!?」 ガチャッ 「大丈夫か!? ……っと」

小美浪父 「………………」 ポッ 「……すまん。取り込み中だったか」

成幸 「ま、待ってください! お父さん!? 違いますよ!? 違いますからね!?」

小美浪父 「いや、大丈夫だ、唯我くん。私は分かっているから。理解ある父親を目指しているから」

成幸 「それ絶対分かってないですからね!?」

おわり



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